都城市の中心部から20分ほどの場所にある物件を検討していました。
小中学校も徒歩圏内で、立地も悪くありませんでした。
「再生できれば入居者見つかるな」って思って内見に向かったんです。
で、実際に見てみると……
「わぁー!きれい!」というのが第一印象。
これまで見てきた空き家の多くは
- 雨漏りが進行していたり
- シロアリに蝕まれていたり
- 床が抜け落ちていたり
でもこの物件は違いました。雨漏りは何カ所かしていたものの
- 骨組みはしっかりしてる
- 庭も広くて、離れの建物もある
- シャッター付きのガレージまで
- 建物は6DKと大きい
大家族向けとしては「ありな物件」だと判断しました。
ところが——。
そこから予想もしない問題が次々と浮かび上がることになります。
発見1:隣地への越権。でも実は……
公図と航空写真を重ねてみました。物件検討では当たり前の作業ですが、ここで気付いたのは建物が隣の敷地まで越権していたということ。
「これはまずいな」と思って登記簿を確認すると、隣の土地の所有者が同じでした。つまり、売主が隣地も含めて複数筆を所有していたわけです。
ただし——ここに問題がありました。
売主側の不動産と売主本人の認識が異なっていたのです。仲介さんに確認してもらうと、実は「隣の土地もセットで売りに出されていた」ということが後から判明したんです。
そんなこともあるんだな——って思いながらも、逆にこれは好機だと思いました。
隣地は230坪。広い敷地が付いてくる
隣の敷地は約230坪。パッと見た感じ「田んぼのあぜ道しかなく、利用価値がなさそう」に見えました。
でも、そこがポイント。
仲介さんに接道の扱いを確認してもらうと、あぜ道に見える部分が「接道扱いの道」だと判明したんです。
これなら——という思いが湧きました。将来、この隣地を別途売りに出すこともできるかもしれない。そう考えると、購入を前向きに検討する価値がありました。
発見2:「地目が畑」という壁
しかし、またまた問題が発生しました。
隣の土地の地目を確認してみると、それが「畑」だったんです。
ここで壁になったのが「農地転用許可」の存在。
農地は正当な理由がないと転用の許可が下りません。
私たちのように「将来的な利活用を検討している」程度では売買ができないのです。
「これが噂の農地転用許可ってやつかー」と。納得半分、困惑半分でした。
ただし——完全に道が閉ざされたわけではありませんでした。
仲介さんから聞いた説明は「売主側で4条申請をして地目を『宅地』に変更してから売買する流れなら可能」ということ。
農地の転用許可申請は売主が行うべき手続きで、買い手側がコントロールできる部分ではありません。
そしてそこには——時間と費用が伴います。
不動産は複雑な法律が絡み合っているんだな、と改めて感じました。
発見3:大木の根。伐根費用が40万円
再度現地に向かい、接道扱いになる道を確認してみました。
確かにあぜ道だけど、接道として認められているんだな——と不思議な感じ。
ただし、そこから土地に侵入するには、10メートルはありそうな大木が10~20本。
それらの抜根が必要でした。
ネットで調べてみると、伐根費用はざっと40万円。
土地の利用可能性を考えると、この費用は決して軽いものではありません。
交渉と決断
こうした課題を整理して、費用を計算した上で売主側に金額を提示しました。
結果は「売主側で農転費用もかかるからその金額では難しい」というご返答。
購入に至りませんでした。
この経験から学んだ3つのこと
1. 地目が「田んぼ」「畑」の土地に家が建っていると、売却時農転が必要なこと
これは所有者が「自分の土地だから」と思っていても、法的には大きな課題になります。
売却しようとした時に初めて気付く——そういう方も多いのではないでしょうか。
農転の費用は売主、買主で折半なこともあるそう。
買主が全部負担という方が多いのかな?
2. 自分の土地だからと境界を考えず越権して増築すると、売却時に大変になること
今回は隣地も同一所有者だったため問題化しませんでしたが、別の所有者だったら大ごとです。
権利関係が複雑になると、売却交渉そのものが難しくなります。
3. 不動産は複雑な法律が絡み合っているということ
公図、登記簿、地積測量図、地目確認、接道判定、農地転用……。
見た目だけでは判断できない、多くの法的要素が関わってきます。
「見た目がきれい」は最初のフィルターに過ぎない
この物件は、確かに見た目がきれいでした。骨組みもしっかりしていました。
でも、複数の落とし穴がありました。
もしかして、皆さんがお持ちの空き家にも、気付いていない課題があるかもしれません。
- 隣地との関係性は整理されていますか?
- 土地の地目は「宅地」になっていますか?
- 接道は確保されていますか?
空き家の購入時・売却時には、こうした法的な課題をちゃんと確認してくれる有識者(不動産業者、弁護士、土地家屋調査士など)に一度相談してみることをおすすめします。
